ありのまま

 

自分の個性を他者と区別する指標として「自分らしさ」があります。

 

最近は「人と違う事は良い事」という価値観が益々重視されてきている事もあり、誰もがこの自分らしさについて模索をしています。

 

けれども、いわゆる「いい人」は、こうした自分らしさを大事にせず、本来の自分らしさを押し殺してまで「いい人」を演じ続けて頑張ってしまいます。

 

そして、「いい人」をやめる事は自然体でリラックスした行為であって、とても楽な事なんです。

 

これは「フロー」に似ています。

 

フローとは、脳がとてもリラックスしている状態にもかかわらず、最高のパフォーマンスを発揮できている状態の事を言います。

 

分かりやすい例で言えば、人類史上最速のスプリンターと評された、元陸上選手のウサイン・ボルトさんです。

 

2002年から2017年までの現役時代は数々の記録を樹立しました。

 

特に、金メダルを獲得した時の走りを見ていると、あれほどの大舞台なのに何だかとてもリラックスしていて、余裕を持って走っているように見えます。

 

つまり、私たちが最大のパフォーマンスを発揮するためには、ただシャカリキになって頑張ったり、緊張しながら苦しい事をやっても効果がないという事です。

 

例えば人付き合いが苦手だと思っている人ほど、他人の目を必要以上に気にしているものです。

 

そして、他人が何を思っているのか、何を期待しているのかと神経質になっている人も多いと思います。

 

その一方で、自分の周りに、恐れ知らずの個性的な人がいると思います。

 

そのような人をじっくり観察していると、素のままでいつもリラックスしているはずです。

 

それこそが、「自分らしさのフロー」に入っているという事です。

 

世間では、「あの人は天然だよね」等といった言い方がされますが、まさにその「天然」でいる事が大切です。

 

周囲の予想を覆す意外な反応をしてみたり、それで皆から「ツッコミ」を受けたりと、どこか抜けている、おっちょこちょいなくらいがちょうどいいのです。

 

なぜなら、そのような人は普段から自分の世界を持っていて、「ありのままの自分」でいる事がとても上手です。

 

その為に、周りに流される事なく自然体な生き方ができるのです。

 

周りにどう見られているのかをあまり気にせずに、マイペースな自分でいる事ができればしめたものです。

 

自分らしさのフローに入っていければ、自分らしい個性が顔を出してくるのです。

 

イソップ寓話の1つに「北風と太陽」というお話があります。

 

北風と太陽がが力比べをすることになり、どちらかが道を通る旅人のマントを脱がすことができるかの競争をしました。

 

まずは北風が強く冷たい風を旅人に当てましたが、旅人は寒くてマントをさらに強く押さえたので、マントを脱がす事はできませんでした。

 

次に太陽が、ぽかぽかと暖かい日を当ててみると、暑くなった旅人はたまらずにマントを脱ぎ、太陽が勝ったというお話です。

 

もし、自分の中に自分を押し殺す「北風」が吹いているのであれば、そこに自分らしさを見つける為の「太陽」を探して下さい。

 

ここでいう太陽とは、「こうなったらいいな」「やってみたいな」という自分の率直な願望です。

 

内容が単純で子供じみていても、荒唐無稽で実現不可能な事でも構いません。

 

それが実現できたら、どんな風に楽しいのか、目を閉じて脳裏にその姿を描いてみて下さい。

 

実際にできても、できなくてもいいのです。

 

その事を楽しく考えるその行為に脳が反応して、自分は木漏れ日の中にいるように温かく穏やかな気持ちになると思います。

 

こうした習慣を続けていけば、自分もきっと「いい人」というマントを脱ぐことができるはずです。

 

目の前の現実を充実させるためには、まずは「ありのままの自分」を感じる事です。

 

それによって、自分を心から好きになる事ができます。

 

多くの人にとって、ありのままで生きる事は難しいかもしれません。

 

社会的にこうあるべきという立場を演じて見たり、本心とは違う事を話してみたり、時には嘘をついてみたり・・・。

 

けれども何となく、心の中がざわついているのを感じているはずです。

 

本当は自分がどう思っているのか、何をしたいのか、何を伝えたいのか。

 

そういった、ありのままの自分を受け入れる事は恐怖を伴うものですが、一度マインドを変えてみると、脳は深い安心感に包まれます。

 

周りはハラハラしたり困ったりする事もありますが、そんな個性的なキャラクターも含めた存在そのものが、その人の魅力になっていきます。

 

ありのままをさらけ出しても、多くの人に愛される存在でいられます。

 

怖がらなくても大丈夫です。

 

「いい人」をやめる為に大切なのは、他者からの承認に一喜一憂せず、ありのままの自分を受容する事なのです。

 

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