八方美人は高等技術

 

「誰からも好かれたい」

 

「誰にでもいい所を見せたい」

 

このような人を「八方美人」と呼んだりします。

 

一般に、八方美人という言葉は誰にでもいい顔をしている「抜け目のない要領のいい人」といったイメージで否定的に解釈されがちですが、私はこの八方美人を人間関係において極めて高度なスキルだと考えています。

 

というのも、人によっていう事、やる事、付き合い方を柔軟に変える事ができるという事は、相当に気配りができて頭がいいという事の証明でもあるからです。

 

つまり、八方美人という言葉は、人から嫌われる事を恐れて、誰にでも好かれようと愛嬌を振りまくだけの「いい人」とは真逆の人間を意味しているのです。

 

例えば、「今、こんな事を言えば目の前の相手が喜ぶだろう」

 

「先読みしてこれをやっておけば、この人は助かるだろう」

 

といった事を瞬時に考えて行動するには、かなりの洞察力が必要です。

 

嫌われる事を恐れ、自分の保守ばかり考えている人には、どう頑張っても相手の心の中を読む事はできないからです。

 

その点、どうすれば相手に喜んでもらえるかをいつも真剣に考えているような思考回路の人は、誰からも好かれ、何をやっても受け入れてもらえるという事になるのです。

 

ですから、もし自分が八方美人になろうと思ったなら、いつも頭をフル回転させていないといけません。

 

何気ない会話や相手の仕草などから、相手が今何を望んでいるのかを見抜かなくてはならないのです。

 

この八方美人とはややニュアンスが異なりますが、他人からの共感を勝ち得る天才として浮かぶのは田中角栄さんです。

 

裸一貫から総理大臣にまでのぼり詰め、「今太閤」と呼ばれた田中角栄さんは、近年様々な評価をされていますが、とにかく多くの人を引きつける魅力に満ちています。

 

田中角栄さんは、人間関係を何よりも重視して、自分を頼ってきた人の為に自ら率先して動いていたそうです。

 

「自分の物差しは引っ込めて黙って汗を流せ。いい所は人に譲ってやれ。損して得取れだ。人にも好かれる」

 

これは田中角栄さんの名言の1つです。

 

まさに、損して得取る事こそが人に好かれる秘訣だと説いています。

 

表面上、他人に合わせているものの、実は自分の都合や自分への評価を優先させて物事を考えがちな「いい人」こそ、肝に銘じておきたい言葉だと思います。

 

もう1つ田中角栄さんの名言があります。

 

「仕事をするという事は、文句を言われるという事だ。褒められるために1番良いのは仕事をしない事。しかし、それでは政治家は務まらない。批判を恐れずにやれ」

 

確かに、周囲の機嫌を取る事を優先して、何もせず流れに身を任せてさえいれば批判される事もありません。

 

ですが、他人から批判されるという事は、自分が何かをやっている証拠でもあり、前に向かって歩こうとしている証拠でもあります。

 

人生の生き方に正解はありませんが、自分の中で何が正しいのかを考えて生きていって下さい。

 

人間は「無い物ねだり」の生き物なので、1つ幸せを手に入れれば、また別の幸せが欲しくなります。

 

幸せを追っている内に1周して、「あの時の自分に戻りたい」等思う事もでてくると思います。

 

それを踏まえた上で、結局何が自分にとって正しいのか考えて行動して下さい。

 

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