人は重要なものしか見えていません。
これは少し実験をしたらすぐに分かる事です。
いつも使っている腕時計やカバンのデザインをできるだけ正確に思い出して、物を見ずに紙に書いてみて下さい。
腕時計のバンドのデザインや数字。
数字は算用数字だったり、ギリシャ数字だったり色々だと思います。
秒針の長さ等もです。
書けたら確認してみて下さい。
これはほとんどの人が3~6箇所以上間違えます。
なぜでしょうか?
腕時計は、1日に何度も見ているはずです。
人によっては、10年以上使っている物でも間違えます。
そして、次に「今の時間は何時でしたか?」と聞くと、またほとんどの人が時間を覚えていません。
時計のデザインを確認する為に、時計を見た直後なのにもかかわらずです。
この実験で何が分かるかというと、
・人は重要なものしか見えない
・人は見る準備をしているものしか見えない
という事です。
時計のデザインは、時計を買う時はとても重要だったはずです。
しかし、日常生活の中で、時間を確認する為だけに時計を見るようになっていくと、デザインの重要度は低くなっていきます。
すると、デザインは見ているつもりになっているだけで、見ていないのです。
ですから、最初の実験で多くの人がデザインを間違ってしまうのです。
そして、2番目の質問では、デザインの確認のために時計を見ていたので、時間は重要ではなくなり、時間を見ていなかった事になります。
時計を見ていたのだから、目には入っていたはずなのに時間を見ていなかったのです。
この時は、デザインが重要で、時間は重要ではなくなっていたからです。
この事で分かるのは、私たちの脳は「1つの情報に集中してしまうと、他の情報が見えなくなってしまう」という事です。
重要だと思う1つの情報に集中してしまうと、他の情報は排除されてしまうのです。
これはとても危険です。
ビジネスや人生においても同じ事が起きているからです。
多くの人が1つの側面からしか物事が見えなくなってしまい、何か問題が起きていても問題が起きている事さえ見えないのです。
まさに、1つの重要性という色眼鏡をかけてしまうのです。
そしてそこにある、情報が見えなくなっているのです。
見ているものが全てだと思わないで下さい。
見えているものが全てだと思わないで下さい。
見えていないだけで、目の前にたくさんの貴重な情報があるのだと知って下さい。
そして、それを見えなくしているのは、自分が過去に創って来た「これが重要だ」「あれが重要だ」という信念です。
自己イメージと言ってもいいです。
これが色眼鏡を創っているのです。
そうなると、人生やビジネスにおけるチャンスや問題解決の方法が見えなくなってしまいます。
ロックオンされてしまいます。
ある事をロックオンしてしまうと、他の情報はロックアウトしてしまうのが私たちの脳なのです。
この事を「スコトーマ」と言います。
眼科の医学用語で、盲点の事です。
世界的な心理学者であり、自己啓発界のアメリカの権威であるルー・タイスさんがそれを心理学用語として使い始めました。
いわゆる、心理的盲点の事をスコトーマと言っています。
上記の実験でも分かるように、私たちの世界はスコトーマだらけです。
普通、毎日何回も見ている時計ぐらいだったら描けると思ってしまいますが、実際ちゃんと描ける人はほとんどいません。
という事は、自分が見ている世界は、ボロボロと情報が抜け落ちた世界だと認識して下さい。
なので、まずは自分の見ている世界はスコトーマだらけだという事を認識して下さい。
スコトーマのキーワードは「重要性」です。
さらにその重要性は、リアルタイムで変わります。
突然時間が重要ではなくなって、デザインが重要になったりする事があるのと同じです。
そして、そのスコトーマについての重要な概念は、「私たちは何が本当に欲しいのか知らない」という事です。
とりあえず、現状というものが与えられていて、その現状の中で、これが欲しいと思っているだけなのです。
逆の言い方をすれば、思わされているだけです。
意図的に誰かが思わせているとは限らず、社会そのものが思わせているだけかもしれないですし、もしかすると学校の先生や両親に思わされていたのかもしれないですし、テレビの見過ぎで思っているのかもしれません。
私たちは何が重要であるという信念を子供の時から、誰かに知らず知らずの内に埋め込まれてきているという事をしっかり認識して下さい。
つまり、本当に欲しいもの、重要なモノは自分自身が知らない可能性が高いのです。
テクニカル分析でも「上がる」「下がる」しか見ていないから、分析プロセスが見えないのです。
分析プロセスにフォーカスをして下さい。
そうすれば、勝てるトレードのやり方が見えてくると思います。