退路を持つと上手くいかない

 

子供の頃に読んだ「ウサギとカメ」の物語では、足は速いけれどもそそっかしいウサギと、足は遅いけれども着実なカメが競争すると、地道に努力するカメの方が勝つんだよと教わりました。

 

実際、カメになりたいと思った子なんていたのでしょうか?

 

誰もが望んだのは、もう少し慎重なウサギだと思います。

 

足が速くて、ゴール前でうっかり昼寝などしないウサギ。

 

勝つためには、やはり足が速くなければいけない事くらい皆知っています。

 

ところで、この「ウサギとカメ」の物語は、地道な努力の大切さを教える事を意図していながら、結果として、努力というものに良くないイメージを与えてしまいました。

 

つまり、努力はノロマな人がする事だが、たまにできる人がヘマをすると勝利が転がり込む事もある、という印象を与えてしまったのです。

 

このような物語の難点は、天賦の才の持ち主か、才能に恵まれない努力家か、そのいずれかでしかないと思わせてしまうところにありますが、これこそが硬直マインドセットの考え方なのです。

 

「努力なんて才能に恵まれない人のする事。頑張らなければできないのは、能力に欠ける証拠。真の天才なら、自ずとできて当たり前」と、硬直マインドセットの人は思っています。

 

私たちの社会では、骨を折って何かを成し遂げるよりも、苦も無くあっさりやってみせる方が高く評価されます。

 

とてつもない事を、こともなげにやってのける超人的能力の持ち主こそが、現代のヒーローなのです。

 

これぞまさしく、硬直マインドセットの考え方に他なりません。

 

しなやかマインドセットの人は、天才であっても、何かを成し遂げる為には、汗を流して努力する必要があると思っています。

 

「才能があるってそんなに偉い事?」と言うかもしれません。

 

才能があれば確かに素晴らしいです。

 

ですが、努力を侮ってはいけません。

 

どれほど才能があっても、放っておけばそのまんまです。

 

努力する事によって初めて才能に火が付き、そこから素晴らしい業績が生まれるのです。

 

努力は欠陥人間のする事だと思っているのが、硬直マインドセットの考え方です。

 

自分の欠点を自覚している場合はともかく、自分を完璧な天才のように思っている場合には、努力なんてしたら自分の価値が下がる事になりかねないと考えています。

 

硬直マインドセットの人は、努力する事を恐れている事もあります。

 

その理由は、「やってみて、やっぱりダメだった」と考えたら恐ろしいからです。

 

本気で挑戦したのでなければ、とことん練習して臨んだのでいなければ、全力を尽くしたのでなければ、まだ言い訳ができると考えています。

 

でも、自分の全てを出し切ったのに、やはりダメだったとなるのが本当に辛いのです。

 

精一杯やってもダメだったら、言い訳しようのない状況に追い込まれたら、という硬直マインドセットによって何より恐ろしい不安に駆られるのです。

 

なぜ、努力する事がそんなに怖いのか?

 

理由は2つあります。

 

まず1つには、硬直マインドセットの人は、才能に恵まれている人に努力は不要だと思っているから。

 

もう1つには、言い訳のしようがなくなるからです。

 

それほど頑張っていないのであれば、「やればできたはずなのに」と言えます。

 

ですが、一生懸命に努力した結果がそうだと、もう何も言い訳はできなくなってしまいます。

 

私は何でも目指す所には、捨て身で挑んでいかないといけないと思って人生を送っています。

 

タイトルとURLをコピーしました