硬直マインドセットの人は、小学校から中学校への移行期を「脅威」と感じます。
実際、硬直マインドセットの人にとって、思春期は自分の優劣が決まってしまう審判の時です。
自分は頭が良いか悪いか。
美しいか醜いか。
スマートかダサいか。
勝ち組か負け組か。
しかも、マインドセットがカチカチだと、敗者になったら最後、ずっと敗者のままでいるしかありません。
当然、思春期の子供の多くが、あの手この手を使って、学ぶのではなしに自我を守ろうとします。
よく使われる手の1つが努力をしない事です。
この年頃には、優れた才能があっても努力を止めてしまう子が出てきます。
こうした「努力しない病」は、思春期の子供が大人からの自立を主張する手段だと考えられていますが、それは硬直マインドセットの子供の自己防衛策でもあります。
秤にかけて能力の程度を調べようとする大人に対して、「そんな事されてたまるか」と抵抗しているのです。
しなやかなマインドセットの人は、そんな手を使ったりしません。
努力をやめても何の意味もないからです。
しなやかなマインドセットの人にとって、思春期はまさにチャンスの時です。
新しい事を学んで、自分の好きな事、将来なりたいものを見つける時期なのです。
マインドセットがしなやかだと、学習への意欲がよみがえります。
高校から大学への移行期も重大な転機となります。
大学には高校の秀才たちが集まってくるので、昨日までのお山の大将がその他大勢になります。
しなやかなマインドセットの人は、1度失敗しても、すぐに立ち直って次に備える事ができます。
一方、硬直マインドセットの人は、1度失敗するとなかなか立ち直る事ができません。
しなやかなマインドセットの人と硬直マインドセットの人とでは、勉強方法も違います。
大多数の人がしている勉強方法は、教科書やノートを読んで、分かりにくければもう1度読み返し、片っ端から丸暗記していく方法です。
硬直マインドセットの人の勉強方法はまさにこれです。
それで良い結果にならないと、その分野は苦手だと思い込んでしまいます。
「やれる事は全てやったんだから」と。
しなやかなマインドセットの人の勉強方法を知ったらびっくりすると思います。
しなやかなマインドセットの人は、学習意欲をかきたてる方法を自分で工夫します。
やみくもに丸暗記するのではなく、「全体のテーマや基本原則を掴む」努力をして、「ミスしやところは完全にマスターできるまで反復学習」します。
良い結果にする事にではなく、しっかりと理解する事に目標を置きます。
実は、これこそが良い結果を生み出す理由であって、元々頭が良かったわけでも、予備知識が豊富だったわけでもありません。
味気ないものでも、分かりにくいものでも、「興味を持とうとした」「前向きな気持ちで学習に臨んだ」「勉強する意欲を失わないようにした」。
退屈な分野であっても、やる気を失わず、その分余計に自分を発奮させようとします。
しなやかなマインドセットの人は、「学ぶ」ことに重きを置いているので、効果的な学習方法を色々と試して工夫します。
それに対して、硬直マインドセットの人は、良い結果になる事ばかりを気を取られて、どうしても学習のプロセスをおろそかにしがちなのです。
良い結果というのは、後から必ずついてきます。
まずは、結果になる前のプロセスから直していくと良いと思います。