人に何かを教える上で「前提の確認」が非常に大切です。
前提の確認をしないまま指導してしまうと、どんどんズレが生じてしまうからです。
そもそも”前提”というのは何なのでしょうか?
私たちは人に会うと「こんにちは」と言います。
これも当然ながら「前提」があって発している言葉です。
この場合の前提は「日本にいる人のほどんどが日本語で話す」ということで、この前提をお互いが共有しているからこそ、「こんにちは」と言います。
しかし、伝わっていると思っているのは自分だけで、実際は伝わっていないとしたらどうしますか?
「前提」が少しでも違っていたら、その先のコミュニケーションが破綻したり、多少通じてもミス・コミュニケーション(伝達の失敗)が起きることが避けられません。
「伝わっていない」のに、30分間、話を続けたら。
どんな結果になるか、すぐ分かると思います。
最初に「前提」を必ず確認し、そして次は「タイトル」を伝えます。
「今日何を話すのか」について伝えるのものが、タイトルです。
芸人さんが面白エピソードを披露する『人志松本のすべらない話』という番組があります。
芸人さんは話が本当に上手だと感心するのですが、なぜあんなに引き込まれてしまうのでしょうか。
分析してみると、1番最初に「この前ね、そんなこと本当にある!?って思った話なんですけど」という風に、聞く人の注意を惹いているのです。
その上で、「おばあちゃんが電車に乗ってきたんですけど、あるわけないやん、というものを持っていたんですよ」というような感じで、その話の”おとしどころ”、”メインになるところ”を早々に言ってしまうのです。
この場合、「信じられないような話をしますよ」というのが「前提の確認」です。
その後にくる、その話の”おとしどころ”、”メイン”が「タイトル」です。
「タイトル」を言ってしまってから、話がいよいよスタートします。
「朝起きてコーヒーを飲みに行こう、と思って家を出たんです」と始まります。
やがて「でね、電車に乗ったんです」なんて話し始めます。
ここまで聞くと、「あ、そろそろおばあちゃんが出てくるな、話の山場も近いな」と分かりますよね。
先にタイトルを言っておくと、聞き手はクライマックスがどのあたりかの予測がつくので、「ここはまだ導入だな」とか「これは布石かな?」など推測しながら話を聞けます。
タイトルというのは、すごく重要なのです。
実際、電車というワードが出てきただけで、期待してドキドキします。
でも、もし重要なポイントが分からなければ、どこでドキドキしていいのか分からないし、話のポイントを絞れないので、聞いてるうちに飽きてしまう可能性もあります。
せっかく山場が近付いているのに気持ちが盛り上がらないのです。
タイトルを先に言うというのは、「今日の話の中で、これが重要なドキドキポイントですよ」「この話が出てきたら集中してください」というのを前もって教えているという事です。
なので、これをあらかじめ言っておくのが、人を夢中にさせるコツです。
本屋さんで本を選ぶ時、どのようにして選んでいますか?
1つ1つ手に取って、内容を見るでしょうか。
ほとんどの場合、本のタイトルに惹かれて本を手に取るのではないでしょうか。
タイトルが良くなくても中身が素晴らしい本はありますが、ほとんどの場合タイトルが良くなければ、購入意欲は湧かないと思います。
「前提の共有」と「良いタイトルをつけること」
この2つが人と繋がるコツです。
前提とタイトルをしっかり”伝える”ことで、人との繋がりを大事にして下さい。