人は「フィードバック」されると、より良くなろうとする性質があります。
信頼関係ができたら、そこから先で大事になってくるのはフィードバックです。
しかし多くの人はフィードバックのやり方を間違えています。
世の中で最も”フィードバックしてくるもの”が何か分かりますか?
それは、鏡です。
こちらが動けば、鏡の中の自分も一緒に動きます。
「自分が今どういう状況か」というのを、鏡ほど、常時フィードバックしてくれるものはありません。
鏡を見た時に顔にゴミがついていることに気付けば、取ります。
化粧をする時も、アイラインが曲がらないよう、口紅がはみ出さないよう、鏡からのフィードバックを元に微調整します。
ひげを剃る時も、髪をセットする時も、常時”鏡のフィードバック”を受けて、整えます。
そもそも、どうして人は鏡を見るのでしょうか?
より綺麗になるため、よりカッコ良くなるためだと思います。
その証拠に、ほとんどの人が自分の顔を鏡で見る時、「自分が好きな表情」や「キメ顔」をするはずです。
朝、顔を洗った後、メイクした後、髪のセットが終わった後、鏡を見て「よし!」と心の中で言ってから出掛けるのではないでしょうか。
鏡を見ると、「良くしたい」ポイントが見つかります。
そこから「良くなった結果」も確認できるのが、鏡というものです。
1つ1つ確認しながら、「より良く修正していく」のが、鏡のフィードバックを受けた時にする、人間の行動なのです。
これが何を意味しているのでしょうか。
人間は、フィードバックを受けると、より良くなろうとする生き物だということです。
反対に、誰も何もフィードバックをしてくれないと、本人は気付かないので、何もしないし動きません。
当然綺麗になろうともせず、顔についたゴミにも気付かずつけたままです。
もし、鏡が意思を持っていて、自分が鏡を見る度に「今日の髪型は決まってないね」「年取ったね」「最近太った?」と、マイナスな点ばかり話しかけてくるとしたら、反省して良くなろうと思いますか?
落ち込んで終わってしまったり、腹が立つと思ったりするだけではないでしょうか。
「そんなことを言われるのは腹が立つに決まっている」と思ったとしたら、そのフィードバックは間違ったフィードバックである証拠です。
改善する意欲を失わせているからです。
でもほとんどの人が、人に対して、”間違ったフィードバック”をしてしまっているのです。
実際に鏡が行っているフィードバックは、「良い/悪い」の判断ではありません。
単なる客観的なフィードバックです。
髪型がイマイチ決まってないと決めるのは、鏡でそれを見ている自分です。
鏡を見て、「太ったのは最近怠けてジムへ行ってなかったからだ」「化粧ノリが悪いのは寝不足のせいだ」と思ったとしても、それは、鏡を見て自分自身がそう思っただけ、のことです。
子供の姿勢が悪いと、親は「姿勢が悪い!目が悪くなるわよ!」と怒ったりします。
人によっては、「背中を丸めていると、背が伸びなくなるよ!」なんて根拠の無いことまで言ったりします。
子供にしてもらいたいのは「背筋を伸ばす」ということだけなのに、関係のないことまで付け加えてしまうのが、間違ったフィードバックです。
この時に1番良いフィードバックのやり方は「背筋が曲がってるね」と言うだけなのです。
プラスの意図もなく、マイナスの意図もなく、ただ事実のみを言います。
あるいは、その姿をスマホなどで写真に撮り、それをただ見せるだけでも良いのです。
そうすると不思議に、みんな勝手に背筋を伸ばすものです。
これで更に前かがみになる人はいません。
何かを直す時に「○○しろ」と命令する必要は無いのです。
視覚から感じ、何を思い、どうするのかがフィードバックの流れです。
正しいフィードバックをすることによって、自発的に行動できるようになり、良い方向に向かえると思うので、間違ったフィードバックをしないように気を付けて下さい。