教育や指導というのは、知らないことや間違っていること、こうした方がより良くなる、ということをひとつひとつ指摘して、相手を導いていくものです。
すなわち、教える側と教えられる側がいて、成り立っているものです。
ところがこれは、自分が1人で行動する場合も同じ構造になっています。
例えば、今からノートを机の上に置くから、スペースを空けるために机の上にある本や筆箱をよけるとします。
これは「教育・指導」しているわけではありませんが、「改善」をしています。
ノートを置くには机の上をどうしたらいいかを自分に問いかけて、スペースを作るという行動に移ったわけです。
「教育」や「指導」の場合は、2人以上そこに登場人物がいて、「改善」の場合は自分1人になりますが、本質的には同じことをしています。
教育・指導・改善を受けると、”心に必ず生じるもの”があります。
それが何かわかりますか?
多くの人が、「感謝」と答えます。
「教えていただき、ありがとうございます!」という意味の感謝だと思うのですが、実はこれは反対なのです。
心理的な面から説明しますと、教育・指導・改善を受けると、教育・指導・改善をしてきた相手に対して「悪感情」が芽生えるのです。
意外に思われるかもしれませんが、次のように考えれてもらえれば分かりやすいと思います。
いつも自分が行くスーパーマーケットに行ったとします。
そのスーパーマーケットには大きな駐車場があり、自分はいつも、自分の家から1番近い出入り口を使うのがルーティンです。
もう1つの出入り口は反対側にあり、かなり遠回りになるのでほとんど使いません。
しかしスーパーマーケットへ行って、いつもの出入り口から入ろうとすると、警備員が来て「工事中で今日はこの出入り口は使えないので、反対側に回って下さい」と言われてしまいました。
これは警備員による「指導」です。
この指導をされると、いい気持ちがしない人が多いのではないでしょうか。
不満に思ったり、イラッとしたりするのではないでしょうか。
しかし冷静に考えてみると、もし警備員に「指導」されなかったら、知らずに行って、工事中の穴に落ちていたかもしれません。
そうなってはいけないから、警備員が指導してくれたのです。
それなのに、不満に思ってしまったのはなぜでしょうか。
実は、教育・指導・改善をする時、またフィードバックをする時に、相手との信頼関係が無いと、受けた方は「攻撃されている」と感じてしまうからです。
これまでにも信頼関係の大切さについては何度も説明してきましたが、信頼関係が必要な理由は、こんなところにもあるのです。
「誰が何を言うのか」によって、受け取り方というのは大きく異なります。
肥満体型の人にダイエットの方法を教えられて信用できますか?
ガリガリの人に筋肉の話をされて疑わずに素直に聞き入れれますか?
私は信用もできませんし、素直に聞き入れる事もできません。
必ず疑いを持ちます。
つまり、同じ事を言っていても、どんな人に言われるのかというのはもの凄く大切なのです。
嘘つくような人ではないと思っている人から色々な情報を伝えられるのか、平気でいつも嘘つく人から色々な情報を伝えられるのか。
大きく受け取り方に差があると思います。
視覚から来るイメージや印象が「信用」というところに繋がります。
つまり、自分が良いフィードバックをされる為には、自分が直したいところ部分のプロのいる環境に入るのが1番良いのです。
自分が良いフィードバックができる人間になりたいのであれば、他人に言う前に自分が直さなければいけません。
フィードバックができる人間になれるというのは、人間的にもの凄く成長しなければいけない事なので、良いフィードバックができる人間になれるように心がけると良いと思います。