間違いを指摘して正しく導くことが「指導」です。
しかし、別の見方をすれば、自分のやり方や存在を否定されていることと同じです。
指導されるというのは、これまでの自分の行動を阻害されたということになります。
相手と自分の間には、もともと大きなズレがあります。
だからこそ、指導されると必ず悪感情が芽生えることになるわけです。
反対に、指導する側は「自分は良い事をしている、感謝しなさい」と思っている場合がほとんどです。
しかし、教えられている方はイラッとしているわけですから、そんな状態で感謝をするなんて、よほど変わっている人でないと無理です。
なので部下が「あの上司、ムカつく」という感情を抱くのは、社会的に見たらデフォルトです。
自分はこうしようと思っていたのに、「違う」「こうしろ」と言われるので、ムカついて当然です。
そういうことも踏まえて、「主観を持ったフィードバックや指導というのは、やめた方がいい」のです。
単純に、関係性が悪くなるだけです。
指導というのは「してやればしてやるほど」悪感情が溜まっていくものなのです。
言うことをよく聞くと言っていた部下や、長年仕えてきた人が突然反旗を翻すといった話が度々ありますが、そんな時、裏切られた側の上司や師匠などは、必ず「裏切られた」「目をかけて育ててやったのに」と言います。
目をかけて指導することで成長することも、もちろんあります。
しかし、成長と引き換えに悪感情を蓄積している可能性も、とても高いです。
ところが上司というものは、全部自分が教えてやった、良い事をした、と思っているので、反発されるだけで「使い物にならなかったお前を育てたのは誰なんだ?」という風なことを言ってしまいます。
人を育ててきた実績もあるトッププレイヤーの人ですら、そうなってしまいます。
指導する側は、「指導してやっている」と、絶対に思わないようにしなければなりません。
目をかけてやった部下が「独立する」となった時にこそ、「裏切られた」ではなく、「喜ぶ」ことができるようになれば、より優秀な人達が集まってきます。
リクルートはまさにそれで伸びている会社です。
「してやる」という上から目線の指導はせず、人間関係を良好にしましょう。
そうすることで、自分の能力も、周りの能力も伸ばすことができます。