日本経済を長らく停滞させてきたものは、保守や忖度を重んじ、リスクを避ける体質です。
特に、日本では高齢化問題が重しになっています。
どの組織でも上の世代がいつまでも重要なポストに居座り、新陳代謝が起きにくくなっています。
その結果、若い人たちが力を発揮する場所が増えず、社会に新しい価値観が根付きません。
時代が変化しつつあるのに、旧来型の発想から抜け出せず、成長の芽が摘まれてしまっています。
その一方で、新しいことにチャレンジする若い人たちが増えています。
ベンチャー企業を立ち上げて30代で役員になって高収入を得たり、専業ブロガーやyoutubeとしてコンテンツを作って稼いだり、副業やダブルワークも当たり前になり、会社員にとらわれない働き方をする人はどんどん増えています。
彼らに共通するのは、”リスクをとることで大きなリターン(成果)を得ている”ということです。
変化することを恐れずにお金や時間を自分や社会に投じて、更に大きな収入や多くの自分の時間を得ています。
日本経済全体が停滞する中で、一部の人達は確実に「成長」をし続けています。
この「リスクをとる」という考え方は、まさに「投資」の考え方です。
投資の世界におけるリスクとは、「得られるリターンの不確実性の度合い(振れ幅)」のことを指します。
リスクをとらないとリターンが得られない、すなわち、大きなリターンを得たいのであれば、不確実性(リスク)を受けなくてはいけません。
多くの日本人は、変化や変動を嫌います。
できるだけリスクをとることを避けて、現状維持を好みます。
だから、何かに挑戦することができずにいます。
「日本人とリスク」の問題を考える時、日本史にヒントがあります。
誰もが学校で学んだことですが、奈良・平安時代に日本は遣唐使を中国に派遣しました。当時の船は20メートル程度の大きさで、航海の技術は未熟なものだったそうです。
なんと、中国へ渡る船の約半分は沈没してしまいました。
50%の確率でしか中国に渡れませんでした。
それでも、1隻の船には100人ほどの遣唐使が乗りました。
彼らは、当時の高官や留学生で、いわば「超エリート」の人たちです。
遣唐使の時は4隻の船を出しました。
なぜなら、行きの船で2隻が沈み、帰りの船では1隻が沈む計算になるからです。
300人ものエリートや財産を海の底に沈めてでも、中国の政治体制や文字、文化、宗教を取り入れようとしたのです。
かつて日本人はこうした「リスクテイク」をして、貪欲に外の世界から学びました。
日本人は決してリスクをとれない民族ではありません。
新しい価値を生み出すには、リスクが必ず伴います。
これからの時代を生き抜くには、「投資の思考」が必要不可欠だということを理解しておいて下さい。