運の要素

 

投資の最後の要素は、「運」です。

 

「運」という言葉を使うと、スピリチュアルな概念ともとられがちなので、敬遠する人がいると思います。

 

イギリスの心理学者、リチャード・ワイズマンによる研究で、「自分は運が良い」と感じている50人と、「自分はついていない」と感じている50人を比べた実験が行われました。

 

2つのグループに、それぞれコイン投げテストをしたところ、結果はどちらも表を出す確立は同じでした。

 

次に、新聞を渡して、制限時間以内に新聞の中の写真の数を数えるテストをしました。

 

すると、ついていないと思っているグループは全員が不正解だったにも関わらず、運が良いグループの人たちは5秒ほどで正解に辿り着いたのです。

 

なぜこのような結果になったのでしょうか。

 

実は、新聞を開いたところの見出しに、「数えるのをやめて下さい。この新聞には43枚の写真があります。」と答えが書かれていたのです。

 

ついていないと思っている人たちは、言われた通りに夢中で写真を探していたため、答えが見えなかったのです。

 

一方で、運が良いと思っている人たちは、視野が広く、チャンスを見つけることができたのです。

 

つまり、ちょっとした意識の差があったか、なかったかだけでした。

 

チャンスは確率的に誰にも平等にやってきます。

 

そして、「きっとチャンスがある」「うまくいくはずだ」とポジティブに思っている人は、無意識にチャンスを手繰り寄せることができるのです。

 

実際に採用面接で、「あなたは運が良いほう?悪いほう?」と聞く企業もあるそうです。

 

そういった企業は、運が良いと思っている人のほうが成果を出す確立が高いことを、経験的に知っているのだと思います。

 

「運が良い」と思うと、成功した時に「自分の実力だ」と勘違いして傲慢になってしまう人がいます。

 

たまたま良い目が出た可能性があるので、油断しないように、成功した時は「所詮は運だから」と思うようにして下さい。

 

一方で、ダメだったとしても、もちろん適切には反省しますが、「所詮は運だから」と落ち込み過ぎないように、やるべきことをやるように頭を切り替えます。

 

最善を尽くしたからといって成功できるわけではないです。

 

最終的には運が支配していることを理解しつつ、淡々と努力をし続ける必要があります。

 

投資の世界では、自分が信じた企業を長く「待つ」必要があります。

 

しかし、今の時代は、スマホやネットの影響で待つことが難しくなっています。

 

良いか悪いかを短期的に判断してしまい、情報に振り回される人がたくさんいます。

 

「人事を尽くして天命を待つ」という言葉があります。

 

うまくいくだろうと思っていても失敗することがありますし、ダメだと思っていてもうまくいくことがあります。

 

「一生懸命やったのに、ダメじゃないか」と、失望感を抱かないためにも、「運」に対する考えは必要です。

 

なぜなら、失敗した後のリカバリーが利くからです。

 

また、成功した経営者は、「運が良かった」という口癖の人が多いです。

 

逆に、「成功したのは自分の実力だ」と傲慢に考える経営者ほど、その成功は長続きしません。

 

うまくいっている時は、全てが自分の実力なのではなく、様々な要素が絡み合っていることがほとんどです。

 

その状況を客観視できていると、おのずと「運が良い」という言葉が口をついて出てきます。

 

投資家のように考えられる人になるために、自分の中に「主体性」を養い、「時間」と「お金」の使い方に自覚的になり、「運」の流れに身を任せながら人生の「決断」をしましょう。

 

タイトルとURLをコピーしました