「見える資産」と「見えない資産」、この2つのリターンで、これからの時代を生き抜くことができると思います。
会社が潰れても生きていくスキルが身に付けば食べていけるでしょうし、健康に暮らすことも、お金持ちになることだってできるかもしれません。
ですが、投資が持つ力は、もっと大きいです。
「世の中を良くして明るい未来をつくること」こそが、投資をする本当の目的だと思います。
一見、綺麗事に聞こえるかもしれません。
しかし、突き詰めてみれば、すごく現実的な話でもあります。
なぜなら、世の中全体が暗かったら、自分自身もよりよい人生を送れないからです。
つまり、最大のお返しは「世の中が明るくなること」です。
真の意味で「投資家みたいに生きる」ためには、「世の中を良くする」というリターンをいつも意識することが大切です。
ただ、日本人は根本的に個人主義なので、そのような考えが苦手です。
自分さえ得すればいい、自分の家族だけ安心ならいい、自分の会社だけ儲かればいい、自分の地域だけ安全ならいい、自分の国だけうまくいけばいい・・・。
こうしたマインドは個人だけに限りません。
組織だって、いつの間にか、この「自分たちだけ」の考え方に陥りがちです。
そのことは、日本人が「寄付をしない」国民だということにも表れています。
日本人の寄付の金額は、年間で1人当たり約2500円です。
一方、アメリカ人の年間平均は、13万円です。
毎月1万円以上寄付していることになります。
公共経済学では、世界的に見ても「日本人は公共心がない」というのが通説のようです。
経済は互恵関係なので、寄付も投資もしないということは、社会に貢献する意識が薄いと評価されても仕方ありません。
仏教に、「一如」という言葉があります。
一如とは、宇宙の全ての大もとは一緒という原則です。
人間は社会的な動物であり、周囲の存在と切っても切れない関係にあります。
英語では「oneness」という言葉が近いです。
ところが、日本人は欧米に比べて信仰心が弱いので、この一如の意識が希薄化してしまっているのではないかと思います。
確かに、日本人が投資や寄付をあまりしたがらないのも、自分と社会との一体感がなく、「自分の財布は自分のものだ」と考えているからだと思います。
仮に1万円を寄付するとして、手元からは「1万円札」がなくなります。
喪失感があるかもしれませんが、寄付先との間に共有間があって、心理的に繋がっているのであれば、1万円は移動しただけで、「減っていない」と捉えることもできるはずです。
自分も他人も全て一緒であり、何事も世の中のためになると思えば、投資も寄付も快くできるはずです。
「人生最高の幸福は、社会生活における愛の奉仕によってのみ生じる。わかりやすく言えば、他人のために働くことだ」
超一流の造園技師であり、投資家でもあった本多静六さんという方の言葉です。
彼は造園の仕事のかたわら、収入の4分の1を天引きで貯蓄し、それを株式に長期投資しました。
退官するまでに現在の価値で100億円を超す資産を作ったそうです。
そして、人生の最期でその資産のほとんどを寄付に回してから亡くなったそうです。
愛の奉仕、利他の気持ちを持つことそのものが幸せなことであり、それは本多さんにとっては投資のリターンだと言えるものだったのかもしれません。
誰でも、彼のような利他的な生き方を目指せることを、ぜひ知っておいて下さい。