「投資家みたいに考える方法」だけでは不十分です。
なぜなら、自分たちには、親の教えや学校教育など、これまでの環境による「思考のクセ(バイアス)」が根深くあるからです。
1冊の本が人生を変えることがありますが、「面白かったな」と本を閉じた瞬間に、いつも通りの日常に戻る人も沢山います。
確実に投資家の考えを身につけるために、自分のバイアスを言語化して1つ1つアップデートする必要があります。
バイアスとは、思い込みのことです。
「投資をしましょう」
この言葉を聞いた時、みなさんは最初、「怪しさ」を感じるのではないでしょうか。
それもそのはずで、多くの日本人は「投資」と聞くと、「うまい儲け話」を連想してしまいます。
お金をつぎ込み、ラッキーだったら大儲け、当たらなかったら大損・・・。
そんなリスクがたっぷりのお金儲けのイメージです。
「お金でお金を増やすなんて汚い!」と怒り出す人もいますが、そう言っておきながらも、宝くじを買って一攫千金を望むような国民性もあるのでよく分かりません。
「投資家みたいに考える方法」を確実に落とし込むためにも、思考のクセを取り除きましょう。
投資家的に生きるために、自分自身の思考のクセを直視してみて下さい。
まずは、「リスクはゼロになる」という思い込みから説明します。
リスクとは、「不確実性」です。
例えば、1000円で買った株式が、1500円の価値になる場合もあれば、500円に下がる可能性もある場合、これは「リスクがある」と言えます。
株式投資に限らず、全ての物事に、リスクは付きまといます。
「安全な場所に暮らしたい」「安定した会社に就職したい」と、誰もがそう考えます。
しかし、地震の可能性がある日本列島では、どこに暮らしていてもリスクはあります。
銀行が潰れてもおかしくない時代です。
絶対に潰れない会社なんて存在しません。
つまり、リスクは絶対に「ゼロ」にはできないのです。
しかし、「リスクゼロはあり得る」という思い込みがあります。
それと向き合わなければ、いつまでたっても動けません。
それでは、投資家は全員リスクを適切にとっているのかというと、そうではありません。
多くの投資会社は、「ベンチマーク運用」という方式で運用をしています。
ベンチマークとは、投資信託などが運用の指標としている基準のことです。
そのベンチマークとの乖離をなるべく小さくするのが、ベンチマーク運用です。
乖離しないことを重視するということは、もし日本株式のファンドであれば、組み入れ上位銘柄が超有名な大企業の株ばかりになります。
確かに、大企業は明日や明後日に潰れることはないと思います。
リスクゼロのように見えますし、大企業に投資しておけば安心な気がします。
そして、多くの投資会社がベンチマーク運用をしているのには理由があります。
それは、運用会社が「サラリーマン企業」だからです。
大手の資産運用会社の担当者はサラリーマンです。
これは、会社員という雇用形態の話ではなく、「サラリーマン気質」というマインドの話です。
サラリーマン気質とは、「失敗しないこと」「責任をとらないこと」を軸に考える「失望を最小化する人たち」のことです。
ベンチマーク運用というのは、もし運用成績が悪くても、「東証株価指数と同じ動きだから仕方ありません」という言い訳ができます。
お客さんに怒られないかどうかで運用しているとしたら、それは本当の投資家とは呼べません。
サラリーマンの投資家であっても、お客さんのお金を増やすことを優先して考え、企業の規模やブランドではなく、「成長する企業」を自分の頭で考えて探し、投資するのであれば、企業は成長し、投資家も潤い、経済全体が活性化します。
それは真の意味で投資だと言えます。
必ずしもプロの投資家が全員、リスクを適正にとった投資家的な考え方をしているわけではありません。
真の投資家や起業家は、リスクがあることを「ワクワクする」と肯定的に感じ、思い切って決断することに慣れています。
もちろん、入念な下調べをし、確信の度合いを高め、リスクを低くしていく努力は怠ってはいけません。
決断する時に持つべきものは、「未来への希望」です。