日常生活において、お金の話はタブーなことが多いですが、貯金や節約についてはそうでないことがほとんどです。
テレビ番組でも節約テクニックは人気コンテンツですが、みなさんは貯金をしていますか?
日本人の半数の人は、投資や金融に対して「積極的に無知であろう」としています。
金融庁が出した「金融レポート」の金融・投資知識の習得に関する問いで、投資教育を受けた経験が「ある」と答えた人は全体の3割、残りの7割の人は「なし」でした。
そして、その7割のうちの、さらに7割が「金融や投資に関する知識を身に付けたいと思わない」と回答しています。
7割×7割=49%、つまり半数の人たちが、金融や投資に関する教育を受けたことがないし、今後も教育を受けたくないと思っているのです。
この背景には、「貯金は善、投資は悪」という思い込みがあります。
お金はコツコツと貯めるものであり、金融の知識を持つこと自体、人として良くない発想だというバイアスです。
「自分たちは正しいことをしていたのだろうか。投資嫌いの日本人をつくったのは、自分たちにも責任があるのではないか」
金融庁の幹部はこう語っていたそうです。
最初に貯金の話をしましたが、私たちは貯金が大好きです。
夏と年末のボーナスの時期になると、使い道についてのアンケートが行われます。
「何に使いますか?」というアンケートでも、1位は「貯金」です。
年初の「今年、頑張りたいこと」というアンケートでも、1位は「貯金」です。
お金を旅行や趣味に使うのはわかりますが、そもそも貯金は「使い道」なのでしょうか?
もちろん、貯金自体は悪いことではなく、子どもの教育や家のことなど、ライフイベントに備えて必要な金額を貯めることは、非常に大事なことです。
しかし、「なんとなく不安だから」という漠然とした思いで多くの人が貯金することによって、その行為が社会の閉塞感を生み出すことになります。
なぜなら、お金はエネルギーだからです。
「タンス預金」という言葉を聞いたことがありますか?
銀行などの金融機関に預けられず、自宅で保管されているお金のことです。
2019年の第一生命経済研究所の調べでは、日本で約50兆円のお金がタンス預金になっているそうです。
日本のGDPが約500兆円なので、その額の大きさが分かると思います。
確かに、銀行や郵便局にお金を預けていても、ほとんど金利はつきません。
しかし、それでもタンス預金よりはマシです。
預けられたお金は銀行がそれを元手に運用するので、社会に回っていくお金になります。
タンス預金は、ただ眠っているだけで、何の役にも立っていません。
エネルギーが消滅した「死んだお金」なのです。
タンスの中ではお金はただ眠っているだけですが、それに働いてもらうことによって雇用が生まれたり、ビジネスチャンスが広がったりする可能性があります。
50兆円のうち、ほんの一部でも世に回れば、日本社会はとても活性化するはずです。