働きたくない

 

みなさんは、働くことが好きですか?

 

実は、日本人の多くが「働くことが嫌い」で、「自分の会社のことも嫌い」なのです。

 

電通総研の調査で、働いている18~29歳の若い世代に、働くことの意義について尋ねたデータがあります。

 

その結果、「働くのは当たり前だと思う」と答えた人が全体の4割しかいなくて、「できれば働きたくない」と答えた人が、全体の3割もいました。

 

6割の人が、「働くのは当たり前だと思っていない」し、3割の人は「働きたくない」のです。

 

「日本人は勤勉だ」というイメージを聞いたことがあるかもしれません。

 

確かに、労働時間は海外と比べると長いのですが、働いている時の心の中を覗いてみると、仕事のことはそんなに好きではないと思っているのです。

 

また、従業員エンゲージメント調査という、自分の会社に対する「信頼度」を尋ねた調査によると、日本は世界26ヵ国のうち、下から2番目の59%でした。

 

ちなみにアメリカは80%、中国は86%です。

 

意外に感じる人もいるかもしれませんが、日本人は他の国に比べると会社に貢献したいと思っていないし、愛着も持っていないのです。

 

学生など、アルバイトによる時給の考え方が根付いている人たちのほとんどは、「働くこと=ストレスと時間をお金に換えること」だと捉えています。

 

しかし、働くことにネガティブなまま、就職活動で会社を選んだり、社会に出たりすることは、非常に問題だと思います。

 

なぜそうなってしまったのかというと、戦後の日本が歩んできた道のりにも原因があります。

 

戦後の日本は急速に経済成長する過程で、企業社会になっていきました。

 

終身雇用が常識になり、大きな会社に守られながら働くというスタイルが中心になる一方で、自営業者はどんどん減っていきました。

 

日本で自営業者が身近にいた時代は、何らかの自分の専門スキルを生かして働くということは当たり前で、そこでどうやってお金が回っていくのかを、幼少の頃から自然に学ぶことができたのです。

 

しかし、企業社会においては、サラリーマンたちは、「労務を提供すると自動的に給料が振り込まれる」システムの中にだんだんと絡めとられてしまいます。

 

会社に属し、その会社で出世し、給料を上げることが「働くこと」だと考えるようになります。

 

高度成長期はそれで良かったとしても、バブル崩壊以降は給料も上がりにくくなったので、社員たちのモチベーションの行き詰まりが生じてしまうのも当然です。

 

そういう親や先輩たちの姿を見て育って、多くの学生が「ストレスと時間をお金に換えること」だと捉えてしまい、「仕事嫌い」「会社嫌い」になっているのです。

 

今では、「社畜」という言葉も、当たり前に使われるようになりました。

 

社畜とは、「勤めている会社に飼い慣らされてしまい、自分の意思と良心を放棄し、奴隷と化したサラリーマン」のことです。

 

ポイントは、「自分の意思と良心を放棄し」という所です。

 

日本の会社とサラリーマンの関係は、いわば「別れられないカップル」みたいなものです。

 

会社も社員を辞めないように縛り付けているし、社員は給料が貰えなくなるのが怖いから辞められないのです。

 

日本の企業が成長できない理由の多くは、会社と社員が「嫌いなのに仕方なく付き合っている」状態が長く続いているせいです。

 

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