人間は言葉によって笑ったり、泣いたりします。
人を傷つけ、癒すのも簡単です。
人に希望を与えるのも、絶望させるのも、気高い志を広く知らしめるのも、心の奥底の欲望をさらけ出してしまうのも言葉です。
歴史上の偉大な指導者や思想家は、「言葉のパワー」によって自らの感情を人々に伝え、人々を巻き込み、運命を切り拓いてきました。
言葉は気持ちをかき立てるだけでなく、行動へと駆り立てます。
「これ以上に私の進むべき道を知らない。私について言えば、私に自由を与えよ。然らずんば死を」
という演説で有名な18世紀のアメリカの弁護士パトリック・ヘンリーは、この言葉によってアメリカを「自由への戦い」へと立ち上がらせました。
今、アメリカ国民が謳歌している「自由」は、何世代にもわたって受け継がれてきたこの言葉のおかげなのです。
言葉の持つパワー、影響力は、計り知れません。
信念は言葉によってつくられ、そしてまた言葉によって変化していきます。
歴史を見ても、言葉の持つパワーの大きさは明らかで、偉大なリーダーたちの言葉が人々を動かしてきたことは、誰もが認める所です。
ところが、自分のことになると、この言葉のパワーに気づいていない人々がほとんどなのです。
言葉の使い方ひとつで、みなさんの精神力はより高まり、より豊かな人生を実現できます。
賢く選んだ言葉は大きなパワーを持つにも関わらず、言葉の選び方に無頓着な人が多すぎます。
何気なく選んだ言葉が自分自身とのコミュニケーションにも影響を及ぼし、経験そのものにも影響を与えていることに気づいていないのです。
これでは自分の可能性に目をつぶったまま”人生の迷路”に迷い込むようなものです。
何の意識を払うこともなく、習慣だけで言葉を選んでいれば、人生が台無しになる可能性は高いです。
素晴らしい経験を「まあまあ」という陳腐な言葉で表現したなら、その経験の醍醐味は失われてしまいます。
語彙の乏しい人は、感情面でも乏しい人生を送ることになります。
反対に語彙の豊かな人は、言葉のパレットを使って人生を豊かに彩ることができるのです。
しかし多くの人にとって語彙の豊富さ以前に問題なのが、「言葉の選び方」です。
私たちはよく言葉を省略してしまうことがありますが、これは感情を省略してしまうことでもあります。
人生を意識的にコントロールするには、言葉遣いには細心の注意を払わなければいけません。
例えば、「いやだ」という言葉をよく使う人がいるとします。
ヘアスタイルがいやだ、こんな仕事はいやだ、何をするのもいやだ。
こういう言葉を使うと、「~のほうがいい」といった表現をした時よりも、否定的な感情に意識が焦点を当ててしまいます。
言葉には、私たちの気持ちを魔法のように変化させる力があります。
賢く選んだ言葉で、より豊かな人生を実現して下さい。