無知の自覚

 

頭の良い人ほど、「分かりません」「知りません」と素直に言うことができます。

 

その一方で、頭が良いとは言えない人ほど、「分かりません」「知りません」と言うのが苦手です。

 

これは、ほぼ例外なく当てはまる法則です。

 

より具体的に言えば、自分の専門分野を確立し、その分野の造詣が深い人は、他分野のことについて聞かれたら「分かりません」「知りません」と正直に答えます。

 

就活の面接でも、受け答えの態度や回答が優秀な学生ほど、知らない質問をされた際に、「分かりません」「知りません」と素直に答えます。

 

頭の良い人は、自分が無知なことを知っているからです。

 

どんなに勉強していても、どんなに本を読んでいても、その度に、自分がいかに無知なのかということを再確認させられているからです。

 

知識が増えるとともに、自信がみなぎるどころか、自信はほとんど無くなっていくのです。

 

みなさんも実感したことがあると思いますが、勉強は、やればやるほど分からないことが次々に出てきます。

 

それも等差級数的にではなく、等比級数的に分からないことが無限に増えるのです。

 

古代ギリシアの哲学者ソクラテスにも、次のようなエピソードがあります。

 

「ソクラテス以上の賢者はこの世にいない」

 

と神託を受けたソクラテスは、どうしてもそうは思えなかったため、当時「賢者」と呼ばれていた人々の元を訪れました。

 

「こんなに分からないことだらけの自分が賢者のはずがない」と仮説を立てながら、確認してみたのです。

 

その結果浮き彫りになったことは、「賢者と呼ばれる彼らはソクラテスよりも賢くない」という衝撃の事実でした。

 

愕然としたソクラテスは、「自分の無知を自覚できているという点で、自分のほうが賢いと言えるだろう」という結論に至ったのです。

 

脳外科医などの脳を専門とする研究者も、実績のある人ほど「脳については1%も分かっていない」と言い、実績のない人ほど「脳については30%程度分かってきた」と言います。

 

実力のある人ほど自分の限界を知っています。

 

分からないことは素直に「分からない」と言って良いのです。

 

絶えず精進して、限界に挑戦することで成長が訪れます。

 

他人事ではなく、自分事として気を引き締めて、学び続けて下さい。

 

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