「忙しい」を捨てる

 

「忙しい」と言う人は、見栄っ張りです。

 

「私は有能な人」とアピールすることで、完全燃焼できていない自分へのイラ立ちを消したいとか、自信のない自分や成果が出せない自分を隠したい人なのです。

 

スケジュールに遅れた言い訳で、「すみません、忙しくて・・・」と言う人は信用を失います。

 

「自分のことに夢中で、相手のことはどうでもいい」という、自己中心的な気持ちを見透かされるからです。

 

つまり「忙しい」とは、自信のなさ、見栄にすがりつく内面の弱さ、そして自己中心的な発想を露呈してしまう、という恥ずかしいセリフなのです。

 

また、意識的に「忙しい」を連発してみると分かるのですが、不思議なことに、本当に慌ただしい気分になります。

 

例えば、12月に入った途端、普段やっていることは変わらないはずなのに、なんとなく気分が落ち着かなくなるものと同じようなことです。

 

そうして慌ただしい気分になると、周囲を見渡す余裕、物事をじっくり考える余裕がなくなります。

 

なぜそれが問題かというと、変化に気がつかなくなるからです。

 

例えば、業界全体が縮小している、会社の景気が悪化している、というマクロな視点から、取引先の様子が怪しいから与信をかけ直すべきだとか、家族が不満に感じているからケアしよう、というミクロな事柄まで、周囲の環境がどう変わり、自分の人生がどちらの方向へ進んでいるかに気が付かなくなるのです。

 

もちろん、時には脇目もふらずに集中して取り組む場面もあると思います。

 

だからといって、心まで忙しくなると、環境変化や大切な人が発しているメッセージに気が付くことができません。

 

だから、「忙しい」という言葉を、みなさんのボキャブラリーから削除して下さい。

 

具体的な方法は、ただ「忙しい」をやめて、「まだまだ暇」と自分に言い聞かせる、という単純なことです。

 

これには2つの効果があります。

 

1つは、「忙しくて手が回らない」という自分への言い訳を排除できる点です。

 

そして、「この分量をどうしたらもっとうまくこなせるか」という発想に切り替わります。

 

「課題を全部書き出して、優先順位を考え直してみよう」といったように、やれる方法を探すようになります。

 

それが自分のキャパシティを広げ、業務処理能力のストレッチにつながるのです。

 

もう1つの効果は、脳の思考領域に余裕ができる点です。

 

忙しい中でも「忙しくない」と言い聞かせることで、「あれもこれもやらなきゃ」という心理的パニック状態から、一歩引いて冷静になることができます。

 

そうすると、優先順位を柔軟に変更することができますし、目の前の仕事だけではなく、その先の未来の仕事や方向性も同時に考えることができるようになります。

 

仕事に追われるのではなく、自分で仕事をコントロールしている、というハンドリング感を持てるようになります。

 

私自身も、いつもそうやって目の前のことに集中しつつも、同時に先のことまで思考を巡らせるように意識しています。

 

さらに、周りからは安定感のある人物だと映ります。

 

どう考えても忙しいのに、涼しい顔で「問題ありません」という余裕は、ビジネスパーソンとしての大きな器を示すことができます。

 

「ああ、忙しい、忙しい」とバタバタしている人よりも、表情を変えずに「あ、私がやりますよ」という人のほうが「デキる」と感じます。

 

仕事を頼みやすい、相談をしやすい雰囲気にもつながります。

 

結果として、上司や部下から頼られます。

 

「忙しい」は捨てて、周りから頼られる存在になって下さい。

 

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