誰かを実況中継することは、「中立的なフィードバック」にもなります。
勉強しないで、子どもがずっとテレビを見ていたら、「テレビなんて見ていないで勉強しなさい!」と言うのが、普通の親御さんだと思います。
それを実況中継に変えてみて下さい。
「(あなたは)3時間、ソファで横になってテレビを見ているね」と実況します。
ただし、皮肉っぽく言ってはいけません。
子どもの行動、事実を淡々と描写すると、それは嫌味でも小言でもないので、実は反論のしようが無くなるのです。
「勉強しなさいよ」とも「電気代が無駄だから消しなさい」とも言われないけれど、子どもからすると、自分の行動を冷静に把握できるようになり、自発的な気持ちが芽生えて、じゃあ勉強しようかな、ともなるのです。
相手のメタ知識を養うために、実況中継を、大いにして下さい。
会社でも、部下に実況中継させることです。
すぐにはできないかもしれません。
であれば、上司自ら、部下の実況中継をしてみてあげて下さい。
自分のことを実況中継されると、自分で自分をどう実況中継すればいいのかわかるようになります。
不思議に思うかもしれませんが、自分の実況中継ができるようになると、人はポジティブな方向へ思考が変わるようになります。
これの良い練習方法の例として、「今いる場所の最寄りの駅から自宅までを、言葉で実況中継する」というのがあります。
自分は違う場所にいながら、普段よく見ている場所の風景や情景を想像して、それを言語化して、誰かに説明をします。
これを強制的にやります。
「ポジティブ・シンキング」という言葉は、ビジネスの現場でもよく使われますが、ここでいう「ポジティブな方向への思考」というのは、同じ「ポジティブ」でも意味が少し違います。
「ポジティブ・シンキング」の場合の「ポジティブ」は「いい方へ考える」といったことだと思います。
ですが、「実況中継によって、ポジティブな方向へ思考が変わる」と説明した時の「ポジティブ」は、英語の”positive”が本来持っている意味合いです。
「明確な、はっきりした、自信がある、確信している、全くの、完全な、積極的な、建設的な」ということです。
一言で言うと、「成長する方向へ行く」というニュアンスです。
「客観視」できるようになると、ポジティブになれます。
マイナスの言葉やネガティブ思考は、自分の周りだけでなく自分のストレスにもなります。
フィードバックをしている時も、怒りやマイナスの感情ばかりを相手にぶつけると、自分も疲弊してしまいます。
なので、人に対しては基本的にポジティブな言葉だけを口にした方がいいのです。
他人を傷付けないようにすると、自分のことも傷付けなくなるので、ポジティブな方向へ思考を変えていって下さい。