皆さんはそもそも貯金は「使い道」だと思いますか?
少し違和感を感じると思います。
もちろん、貯金自体は悪い事ではありません。
子どもの教育や家の事など、ライフイベントに備えて必要な金額を貯めることは、非常に大事なことです。
しかし、「何となく不安だから」という漠然とした思いで多くの人が貯金をすることによって、その行為が社会の閉塞感を生み出すことになるのです。
なぜなら、お金はエネルギーだからです。
皆さんは、「タンス貯金」という言葉を聞いたことがありますか?
銀行などの金融機関に預けられず、自宅で保管されているお金のことです。
2019年の第一生命経済研究所の調べでは、日本で約50兆円のお金がタンス貯金になっているそうです。
日本のGDPが約500兆円なので、その額の大きさがわかると思います。
たしかに、銀行や郵便局にお金を預けていても、ほとんど金利はつきません。
しかし、それでもタンス貯金よりはマシです。
預けられたお金は銀行がそれを元手に運用するので、社会に回っていくお金になります。
タンス貯金は、ただ眠っているだけで、何の役にも立っていません。
エネルギーが消滅した「死んだお金」なのです。
本当にもったいないことだと思います。
タンスの中ではお金はただ眠っているだけですが、それに働いてもらうことにより、雇用が生まれたり、ビジネスチャンスが広がったりする可能性があります。
50兆円の内、ほんの一部でも世に回れば、日本社会はぐんと活性化するはずです。
そもそも、現金というのはバーチャルな存在です。
そのバイアスにも私たちは気付くべきだと思います。
「1万円札」と「1万の時価がついた株式」だったら、どちらがリアルでどちらがバーチャルだと思いますか?
おそらく、1万円札がリアルで、株式のほうがバーチャルだと思う人は多いと思います。
しかし、1万円札の原価はたったの20円です。
それを私たちは、「1万円の価値がある」と思い込んでいるのです。
しかし、株式は、株式会社と紐づいています。
会社が持つ有形・無形の資産の権利が乗っかています。
もちろん、株価は変動しますが、少なくとも会社という「実態のあるもの」と紐づいているわけです。
つめり、現金よりもよっぽどリアルな存在なのです。
貯金そのものが目的になると、今度はお金を失う時の痛みが大きくなりすぎます。
それはまさしく「失望を最小化する人」の思考だと思います。
極度に貯金好きの人は、もう一度、人生の目的を見つけてみてもいいと思います。