「動く人」と「動かない人」がいます。
コインを投げて表が出れば1万円が貰えて、裏が出れば5000円を支払うという条件のゲームがあったら、チャレンジしますか?
恐らく、この条件では、「しない」と答える人が多いと思います。
実際にこの条件でゲームにチャレンジする人は、かなり少数派です。
なぜならば、人間は本能的に「損失を回避したい」という気持ちの方が「何かを得られる」という気持ちよりも大きくなるからです。
これは、行動経済学でノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンらの「プロスペクト理論」としても実証されています。
しかし、合理的に考えると、期待値はプラスになるので、チャレンジした方が得です。
ちなみに、外国と比べて、日本人の方がチャレンジしない割合が大きいそうです。
国民的に「損失を回避したい」という傾向が強く表れるのです。
誰しもが「損失を回避したい」というのは、当たり前のことです。
しかし、日本には「損をしたくない」という気持ちが蔓延し過ぎています。
損するリスクを冷静に直視した上で、貯め込んだお金や、自由な自分の時間を、少しでも未来のために投じた方が良いです。
これからの日本では、「希望を最大化する人たち」と「失望を最小化する人たち」、つまり「動く人」と「動かない人」の格差が、更に広がっていきます。
ところが、前者の考え方を持つ人たちに対して、「イタい人」や「意識高い系」と揶揄する人も多いのが今の日本です。
「失望を最小化する人たち」は、嫉妬の感情が大きいため、自分の水準まで他人を引きずり下ろそうとしてきます。
嫉妬などの負のエネルギーは連鎖していくので、「チャレンジするのが怖い」「恥ずかしい」などと、社会全体の不活性化につながっていってしまいます。
「希望を最大化する人になりましょう」と言っても、安易に起業などを勧めたいわけではありません。
例えば、今、勤めている会社に不満があったとして、会社を辞めて起業するか、このままサラリーマンをするか、という二択を考えてみて下さい。
前者の起業を選択する方が正しいかというと、そうではありません。
成功するかどうか分からないまま動くのは明らかにリスクが高すぎます。
「リスクをとる」ということは、目を閉じてやみくもに飛び込むことではありません。
目を見開いて直視し、しっかりと考えて決断をしてチャレンジすることです。
これからの時代、一生サラリーマンのままで過ごすこともハイリスクな決断です。
近年、会社や事業の寿命は短くなっています。
会社に運命を預けっぱなしにすると、会社が潰れた途端に人生が詰んでしまいます。
なぜならば、同じ会社で働き続け、「その会社でしか通用しないスキル」しか身に付けていないからです。
そのスキルだけのままで年をとると、他の会社に再雇用される可能性は限りなく低くなります。
再就職できたとしても、少なくとも前の会社と同じ給料は稼げないと思います。
「動くリスク」がある一方、「何もしないリスク」が見えるかどうか。
先ほどの質問には、「サラリーマンとして働きながら、いつでも動けるように準備しておく」という中間に答えがあります。
投資家のように考えることができれば、リスクをコントロールして日々の行動を決めることができますし、自分の市場価値を念頭に置いて生きることができます。
リスクがゼロになるのを待つのではなく、リスクを下げる努力をしつつ、良いタイミングで挑戦をして下さい。