執着

 

私達の人生は様々な事を諦めながら作られているわけだから、それは夢でさえ諦めた方がいい場面であるという事です。

 

夢に固執するあまり他の選択肢が見えず、諦めない事で人生を失うことがあるからです。

 

例えば、特定の進路や職業に就く事を目指して努力するのは当然のように感じると思います。

 

それ自体は自然だし、努力を積み重ねるのも素晴らしい事です。

 

しかしいくら練習しても勝てない、レギュラーにすらなれない。

 

何年勉強しても受からない。

 

何社受けても内定がもらえない。

 

そういう場合はどうすればいいのでしょうか?

 

学生であれば生活設計や家族をどうするかと言った事を考える必要がないので、「甲子園出場の夢を持った人」が叶えられなかったとしても、仲間と切磋琢磨できて充実していたという思い出にはなると思います。

 

しかし、大人になるとそうは言っていられません。

 

例えば、弁護士を目指して何年も受験勉強に費やし、気づいたら40代になっていた。

 

一度も働いた事がないから職業的スキルは何も身についていない。

 

実務経験がなく市場価値はほぼゼロ。

 

今さらどこかに就職しようとしても、この年齢で未経験の人がまともな仕事につけるのか。

 

ここからどうやって這い上がればいいのか。

 

執着すると視野が狭くなるというのはまさにこの事で、世の中には3万種類を超える職業があると言われているにも関わらず、1つの夢にこだわるあまり、他の選択肢が見えなくなるわけです。

 

あるいは世界に異性は35億人もいるのに、不倫相手に執着すれば婚期や出産適齢期を逃してしまうようなものです。

 

学生であっても、第一志望の大学に受からなかったからと劣等感でくさったり、何年も浪人したけれど受からず自暴自棄になる、という人の話も耳にするかと思います。

 

「○○大学に進学する事がすべて」みたいに1つの視点しか持っていないと、世界はとても狭くなります。

 

そしてずっとコンプレックスを引きずる事になります。

 

それで自分の人生が明るいものに思えなければ、その夢はむしろ害悪でしかないと思います。

 

夢を持つ事や夢を追いかける事が良くないのではなく、夢にがんじがらめにされ、時間やチャンスを失う事が危険なのです。

 

ですから、もし望むような状況にならなければ、どこかで「自分に向いていない」事を受け止め、別の道を探さなければなりません。

 

すると、もっと自分にフィットして満足できる道が見つかる可能性が高まります。

 

執着していたら見えなかった道が、執着をやめれば「実はそこにあったんだ」と見えるようになる事があります。

 

つまり、諦めるという事は、時間やお金の損害、人生を損失を最小化するための、人間に備わった必要不可欠の危険回避手段だと言えます。

 

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