孤独時間

 

大人と同様、子供にとっても、生活のどこかで孤独な時間を持つ事が必要です。

 

子供の孤独は、自分の内面へと向かい自分自身を発見するためには欠かせない条件であり、1人でいる時にしか起こらない心の成長があるからです。

 

絶え間ない外部の刺激にさらされ続け、外界に反応する事に多忙なエネルギーを消費していると、内面との対話やそこから生じる想像力や創造性、経験を知恵に転換するといった成長を阻害し、それはやがて精神的に行き詰るようになります。

 

その為、例えば塾やお稽古事などで過密スケジュールが続くと、子供の情緒が不安定になり、キレやすくなる事があります。

 

幼少期に自分と向き合う時間が少ないと、自分と他者、自分と外界との関係や距離感をうまくとらえられず、これまで述べたような孤独を巡るといろいろな問題が出てきます。

 

芸能人でも、一世を風靡した子役が昨年に没落する傾向にあるのは、周囲は大人ばかりで年齢に応じた精神の成長が伴わなかったという理由の他、芸能界という絶え間ない刺激に内省する余裕が与えられず、自分の方向性を自らの力で取る力をはぐくめなかったという理由もあると思います。

 

自分と自分を取り巻く世界との統合や適切な認識をするには、自分の考えや判断基準を形成していくという内面的発達が必要です。

 

それには、外界からの刺激を遮断する「タイムアウト」が欠かせません。

 

実際、幼い子供たちは、1人黙々と遊ぶ事があります。

 

小さな子供はまだ、外界の刺激から防御するより、旺盛な好奇心によって世の中を取り入れようとする時間の方が長いのは確かです。

 

しかし、取り入れたものを自分の中でよく吟味するため、時々動きを止めてボーっとする事があるのです。

 

その時のは、受け取った刺激をえり分け、並び替え、新しいパターンとして認識します。

 

それは意識的ではなく無意識的に行われます。

 

例えば子供の頃、1人で公園や原っぱに行ってボーっとする、という経験をした事ある人は多いと思います。

 

さわやかな風、透き通る空、ざわざわと揺れる木々のこすれる音。

 

自然に身をゆだねると、色んな思いが去来し、自分は今ここにいる、自分は生きている、大地の中にいるんだという感覚に包まれます。

 

そうしたこの世との一体感、自分の存在感は、子供ながらに心の充足に繋がるのです。

 

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