具体と抽象

 

抽象化とは、多くの個別事象や個々の経験を「特徴が同じものをまとめて扱う」「似ている傾向を抽出する」という、いわゆるパターン化・法則化する事です。

 

この能力のおかげで私達は1つの事象からでも多くを学ぶ事ができ、まさに「一を聞いて十を知る」事ができるようになりました。

 

人間は抽象化によって個別事象を知的体系として整理する事に成功し、これが継承可能な知的財産となっています。

 

そして私たち個人も、この能力のおかげで個別少数の経験からでも法則を見いだし、「あ、この人にはこういう接し方がいいだろうな」とか「これは自分の仕事に応用できそうだ」などと対応していけるわけです。

 

これは知識体系だけでなく、仕事に置いても同じです。

 

例えば仕事上で得た知識・情報・経験を組み合わせて成功法則を導き出せるのは、抽象化能力の高さがあってこそです。

 

また、そこかた実行に移すには徹底的な具体化能力が求められます。

 

ビジネスモデルは抽象的なものですが、実行計画は具体そのものです。

 

起業家や経営者はグランドデザイン(戦略)を描き、それを実務に落とし込む。

 

そしてそれらを実践するのが一般従業員であるように、成功者は具体と中傷を往復する能力が高く、凡人のほとんどは具体の世界でしか生きていないのです。

 

なので凡人は具体的な指示を与えられないと動けない為、例えば「これ任せるから好きにやって」と言われたら混乱しますが、成功する人は喜々として取り組みます。

 

故に圧倒的多数がサラリーマンで、圧倒的少数が起業家なわけで、「具体と抽象の往復」がどれほど重要であるか理解できると思います。

 

そして、この抽象化能力、そして具体と抽象を往復する力の有無は、幸福に直結すると考えています。

 

人は本来、「こういう人生にしたい」という非常に抽象的な生き方の方向性があり、「そのためにこの分野で能力を発揮しよう」「そのためにこういう仕事に就こう」「そのためにこの業務をしっかりこなそう」という具体的なタスクに落ちていくものです。

 

そういった上位概念の「こういう生き方」があれば、自分自身が納得できる仕事をして、納得できる成果を出している限り、自分の理想の生き方に向かっているという実感があるので、他人の評価は他人の評価として振り回される事はありません。

 

しかしそういう人生の上位概念がなければ、自分がどこに向かっているか、どこに立っているかも見えない。

 

なので自分の生き方を肯定する指標が持てないのです。

 

なので目先の仕事で評価されないだけで「周りは自分を認めてくれない」「こんなに頑張っているのに評価してくれない」などという不満になるわけです。

 

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