「お金を儲けよう」という意識を拭い去る、これはどういう事かというと、「儲ける状態」から「儲かる状態」に自分をシフトさせる事です。
一見すると、「儲ける」も「儲かる」も同じニュアンスのように思えますが、実は全く異なります。
「儲ける」というのは、必死にもがいてでも利益を得ようとする事です。
これに対し「儲ける」とは、もがかなくても自然にお金が入ってくる状態を指すからです。
では、「儲かる」状態にするためにはどうすれば良いのでしょうか?
方法は至ってシンプルです。
当面の見返りでは期待せず、まず人に奉仕・貢献する事から始めれば良いのです。
その分かりやすい例が、いわゆるフロントエンドとバックエンドです。
フロントエンドとは、集客に例えて言うと、新規のお客様に初めて買ってもらうための、いわば客引きの為の商品やサービスの事です。
これに対し、バックエンドとはフロントエンドの商品やサービスを提供した後に販売したい「メインの商品やサービス」の事を言います。
スーパーの例を出すと、分かりやすいかも知れません。
例えば、すき焼きに合う霜降り肉がバックエンドの商品だとしたら、やり手の店長はそれを売る事ばかりに躍起にはなりません。
まず、すき焼きには欠かせない卵や豆腐を特売で売る事を考え、それをチラシに盛り込みます。
すると、チラシを見たお客様は卵や豆腐の特売の文字に惹きつけられ、スーパーに足を運びます。
更に、やり手の店長は肉売り場で実際にすき焼きを調理して、霜降り肉の試食コーナーを設けたりもします。
卵や豆腐が激安で購入でき、霜降り肉が味見できる。
そう、これらがフロントエンドなのです。
そして「試食をしたら確かに美味しい。よし、卵も豆腐も安く買えたし、今夜はすき焼きにしよう」という事で、霜降り肉を買って頂くのです。
これが、バックエンドです。
おしなべて、フロントエンドがうまくいけば、おのずとバックエンドもうまくいくようになり、必然的に「儲かる状態」となります。
従って、利益を出したければ、メインの商品やサービスを売り込む事ばかり考えずに、自分にとってのフロントエンドは何かを考えてみる事です。
こんな商品(サービス)を提供したら、お客様は喜んでくれるに違いない。
得した気分になるに違いない。
こう言った事に知恵を巡らせていけば、
「商売の醍醐味・楽しみとは、儲ける状態から儲かる状態に持っていくところにある」という松下幸之助さんの名言の意味が、ひしひしと感じられるに違いありません。