都合の良い嘘をつく

 

私達は「自分の見たいもの」だけを見て生きています。

 

しかし多くの人々は、「自分の見たいもの」が本物なのか、きちんと確認していません。

 

それが、「お金持ちになったのに幸せじゃない」という状態を生み出す原因です。

 

私達に間違った目標(ゴール)を目指せるのは、私達の脳です。

 

私達がどれくらい自分自身を騙しているかを示す、あるい実験があります。

 

脳には脳梁という右脳と左脳をつなぐ橋があるのですが、てんかん患者の治療のためにこの脳梁を切断し、右脳と左脳を引き離す手術が施される場合があります。

 

この手術を受けた患者は、意識はこれまで通り存在し、生命活動にも何の問題もありません。

 

ただし、右脳と左脳で情報交換がされない状態になるのです。

 

ロジャー・ウォルコット・スペリーとミカエル・ガザニガという2人の学者が、この脳梁切断を受けた患者に協力を依頼し、ある実験を行いました。

 

特別な機械を使って、患者の左脳に「鳥の足」を、右脳には「雪原」を見せます。

 

その後、自分が見たものと対応するカードを選べという指示を右脳に出すと、雪原を見せた右脳は「雪かき用のスコップ」を選びます。

 

雪原を見せた後に「雪かき用スコップ」を選んだのは、特に不思議な事ではありません。

 

問題はここからです。

 

選んだ後に、なぜ「雪かき用スコップ」を選んだか被験者に尋ねます。

 

右脳は言語能力を持たない為、この質問に答えるのは左脳です。

 

しかし左脳には「雪原」を見てはいませんから、なぜ「鳥の足」しか見ていない自分が「雪かき用スコップ」を選んだかは知るよしもないはずです。

 

ところが左脳は「鳥小屋を掃除するためにスコップが必要だった」と、簡単に理由をねつ造してしまうのです。

 

左脳は矛盾を嫌います。

 

その為、自分の行動に正当化を持たせるためだったら、たとえ嘘だろうと理由を作り出してしまうのです。

 

なぜこんな話をするかというと、この実験と同じく、私達の脳は自分に嘘をついていき、自分の行動を正当化させるからです。

 

例えば、口では「新しいプロジェクトを実現したい」「部署を超えた連帯を図りたい」と言っているのに、実際はできない理由を並べる非協力的な人がいます。

 

また、口では「会社を辞めたい」と言っているのに、「もう転職も難しい年齢だから」などと言い、会社を辞める気配がない人がいたりしないでしょうか?

 

前者はプロジェクトの成功や部署間の連帯を強める事で自分の持っている権限や権威が脅かされる事を恐れているのかも知れません。

 

後者は収入面の恐怖に突き動かされているわけです。

 

しかし、本人は自分の本当の気持ちを認めたくない為、脳が自分が納得できる理由をねつ造している可能性が高いのです。

 

脳は自分の行動を正当化する為、自分に都合の良いように嘘をつく事があるのです。

 

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