やりがいや生きがいを見いだせず、生きづらい思いをする典型的なパターンが、他人と自分を比較する人です。
他人と比べてしまう事自体はある程度仕方ありませんが、それによって劣等感や嫉妬などで心の平穏が乱されたり、優越感で傲慢になって周囲とトラブルになったりするのは問題です。
なので、できる限り他人と比べない生き方を獲得する事が重要だと思います。
また、仮に比較しても、それで自分の価値が上下するわけではない事を認識し、マイナスの影響をもたらさないようにしなければなりません。
世の中には、他人と比べなければ、自分の評価ができない人が存在します。
こういう人は自己評価が高すぎるあまりに自己愛をこじらせ、余計に自己肯定感が低くなる傾向があります。
なぜこうなるのかというと、自分で自分を認める事ができず、他人と比較して自分の価値を確認しようとするからです。
けれども、どの分野にも上には上がいるので、自分より優れた人に対して妬みや嫉みを持ち、劣等感や自己嫌悪といった感情に支配されやすくなってしまうのです。
人と比べる事に意識が向きすぎると、自分の優位性を誇示しようとするあまり、自分が本当にやりたい事や求めていた事が見えなくなりがちです。
この状況はスーパーの安売り競争と似ています。
「あの店が値段を下げたから、うちも下げる」のように、ライバルと比較して対応策を打つ事に執着していたら、行き着くのは際限のない低価格レースであり、苦しくなるだけです。
他人と比較して優越感を得ないと自分が満たされないというのは、常に外部に依存した状態であり、自分自身が非常に脆弱になってしまうのです。
そこでいったん冷静になり、その人に追いつき、追い越したところで、自分が幸福に感じるかどうかを考えてみて下さい。
優越的な立場になれば、確かに自尊心は満たされ、自己愛も満たされるかもしれません。
しかしそれは一瞬の事であり、もっと優越感を味わうために、他人と比べて自分を大きく見せようと背伸びして、あえぐ羽目になります。
自分の感情を満たす事に必死になっているうちに、自分にとって本当に幸福な生き方は何なのかを考える余裕もなくなるのではないでしょうか?
嫉妬で可笑しくなり、「○○が不幸になる事を祈っています」などSNSに書き込み、他人を呪う事に血道を上げる人がいます。
傍から見ると、何故そんな幼稚で醜い行為をしてしまうのか理解に苦しみます。
そんな事をしても何も変わらないどころか本人も幸せになれないはずなのに、陰口や誹謗中傷などをしたところで、かえって自分を不幸にするだけなのに。
しかし、当人にそういう冷静な認識は全くありません。
幼稚な事をしているという自覚もありません。
それどころか、自分は正義だと強く思い込んでいます。
嫉妬が危険なのは、思考力が低下し、不幸を呼び寄せてしまう事です。
嫉妬の感情に支配されると、仕事中でもプライベートでも、その人への不平不満や引きずり下ろしたい思考で頭がいっぱいになり、物事をじっくり考えられなくなります。
ふと思い出してはイライラしたり、嫉妬する相手の顔を見る度に嫌な気分になったりするので、仕事にも悪影響をもたらします。
更に、悪い事を思えば悪い事が起こります。
嫉妬深い人の運が下がるというのは、前向きな事に考えが及ばなくなるからであり、必然的に不幸を引き寄せてしまうのです。
そこで重要なのは、他人ではなく、自分の個性を見つけて伸ばす事にフォーカスする事です。
個性を発揮すれば、唯一無二の存在になれるからです。
例えば、アイドルグループ内では、誰がセンターに立つか、誰がファンからの支持を集めているか、常にメンバー同士が比較されがちです。
しかし、和田アキ子さんや黒柳徹子さんなど、自分の個性を出して自分の領域で勝負している人は、どっちか偉いかという比較の対象にはなりません。
これはビジネスでも同じです。
競合他社の動向は参考にしたとしても、あくまで自社の価値を追求し、独自の立ち位置で勝負する姿勢で取り組んだ方が、価格競争に巻き込まれず疲弊せずに済むのです。
もう1つ重要なのは、自分の行動原理を他人に対して論理的に説明できるぐらいに明確にする事です。
「自分はこのような信念に基づいて行動している」という確信があれば、仮に他人と比較して自分が劣っていたとしても、卑屈になったり妬みの感情を引きずったりする事はありません。
もちろん、嫉妬の感情を完全に消すのは難しいかも知れません。
そこで、嫉妬を感じた時には、「自分が目指すものを、その人が実現しているから嫉妬しているのだ」と理解し、自分の目標を再認識するチャンスとして捉える事です。
そういう捉え方ができれば、相手が持っていて自分にはないものは何かを冷静に分析できるようになります。
また、幸福は他人との勝ち負けでは決まらないですし、他人の成功は自分の人生と無関係です。
人が大切にしている事はそれぞれ違っており、他人との比較の延長線上に幸福な人生はない事を認識してほしいのです。
それができれば、誰かに対して批判的になったり憤ったりする事も無くなり、平穏な感情で生きられるのです。