自己肯定感が低い人に起こりやすい悲劇として、過労死が挙げられます。
普通の人は、会社で心身ともにボロボロになりかけたら逃げだすものです。
金銭的な問題よりも、精神的なダメージの方がしんどいからです。
たとえ職場に迷惑をかける事になっても、自尊心が傷つき、自分が自分ではいられない事の方が辛いからです。
しかし自己肯定感が低い人は、自分を犠牲にしても他人に貢献しようとします。
職場に迷惑をかけてはいけないと、自分の健康よりも仕事を優先させて、無理を重ねます。
身体が悲鳴を上げていても、「休みます」が言えない。
オーバーワークで体の具合がおかしいとわかっていても、自分が頑張らないといけないと思ってしまう。
これを察して「それは責任感が強いという事だ」という意見もありますが、自己肯定感が低い人に「あなたに責任が取れるんでしょうね」と念押しすると、たいてい尻込みします。
実際、自己肯定感が低い人ほど自分が責任を負う事を避けたいと考えます。
責任を取る事は、他人との摩擦になる恐れがあるからです。
彼らは、自分に非難の矢が飛んでくるのは、なんとしても避けたいのです。
そのため、責任者といった立場も敬遠します。
昇進をしたがらない若者が増えているという調査結果が報道される事もありますが、これも「傷付きたくない、だから責任ある立場になりたくない」という愛着障害気味の若者が増えてきたという事なのかもしれません。
自己肯定感が低い人が休めないのは、責任感の強さからではなく、自己犠牲的な発想と、自分がいなければこの職場は立ち行かないはずだという自己有能感を得たいがためかも知れません。
自分が休んでも会社が普段通りに回るのは、自分の存在価値が揺らぎます。
自分がいないとダメなんだ、自分は必要とされていて、欠かせない存在なんだと思いたい。
だから休みたなくない、休みたいと言えないのです。