主婦やサラリーマンが自分で商売をしようとする時に、たいていは好きな事を始めます。
好きな事で稼ごうとするのが、二流です。
本にも、よく「好きな事を商売にしなさい」と書いてあります。
あれは「好きな事を商売にしなさい。儲からなくても笑っていられるから」という下の句が抜けているのです。
一流は、面倒くさい事で儲けるか、好きな事で儲けないのかのどちらかです。
好きな事をしながら儲けるのは、欲張りすぎです。
皆が面倒くさいと思っている事、するのに勇気がいる事が、1番儲かります。
株で儲けている人は、「楽して儲けている」と言われます。
株は、一歩間違うと破産します。
それを覚悟でしています。
勇気があるのです。
それは評価した方がいいのです。
ここに大切な原則があります。
二流は、儲けている人は楽して儲けていると思っています。
楽して儲けている人は、1人もいません。
儲けている人は、必ずそれに見合う何かをしています。
面倒くさい事だったり、勇気があったり、見えない工夫をしているのです。
「儲けている人は悪人」というのは、二流の発想です。
ベストセラーの本に文句を言う人がいます。
「あんな中身がない本が売れやがって」と言うのです。
そういう人は、売れた原因を研究しようとしません。
売れるには必ず原因があります。
そこから学ぶ人が、自分も売れるものをつくれるようになります。
やっかみの気持ちがある時点で、何も見えなくなるのです。
阪急グループの創始者小林一三がデパートをつくったのは、大食堂が流行って、お子様ランチができた時代です。
皆が行きました。
そこにライスのみを注文するお客様が出始めました。
大阪に限らず、テーブルにはソースなどの調味料がのっています。
ライスに、醤油と胡椒をかけて食べられると、売上になりません。
各デパートが「ライスのみのお客様、お断り」という張り紙を出しました。
売上の為には、そうせざるを得ないのです。
一方、小林の阪急百貨店では「ライスのみのお客様、大歓迎」と書いたのです。
来たお客様は、ライスだけでも遠慮なく食べられます。
「他のものも食べてあげようかな」と気持ちになります。
1回の売上ではなく、関係性ができてくるのです。
数字に目が行くと、今、この瞬間しか物事を考えられなくなります。
数字を見始めると、関係の放棄になります。
数字と関係を持つ事はできません。
関係は、人間と人間とでしか持つ事ができないのです。