行動の理由

 

いい人は、他人と摩擦を起こさないよう、周りに合わせて生きています。

 

自己責任での判断を避け、他人に決めてもらってそれに従う方が楽だと考えています。

 

そのため、常に自分がなく、他人に追随します。

 

そうした自己固有の判断軸がない人は、他人からの影響をもろに受けるようになります。

 

良い事も悪い事も含め、「あの人が良いと言ったから」「テレビでそう言っていたから」「口コミサイトにこう書いていたから」と、その発言者が見ず知らずに人であっても信用します。

 

他にも例えば、自分は給料が安いとは思っていなくても、同僚が「うちって給料が安くてやってられない」と言えば、「そうかもしれない」とつられてしまう。

 

それで「そうよね」と同意すれば、本当に不安に感じてくる。

 

そうやって不満が増幅されやすいのもいい人の特徴です。

 

こうした他人の影響を受けやすい姿は、時には「素直さ」としてかわいがられる要素でもあります。

 

しかし、信念と頑固さが表裏一体であるように、素直さと思考停止もまた、表裏一体です。

 

彼らは服従を強いられる環境にいたり、親が全て先回りしてレールを敷いて来たりなど、自分で考え判断する力を奪われて育ってきています。

 

そのため、合理的・論理的な思考が苦手であったり、決断を恐れるという弱さに繋がります。

 

例えば転職や結婚といった人生に関わる重要な決断すら、ビビッて先送りするといった事などです。

 

いい人が「自分には無理」とよく発言するのも、自分に自信がない事と合わせて、考えて判断する事を恐れ、リスクにばかり目が行ってしまうからです。

 

こうした状況から脱するには、自分の価値基準や判断軸を信頼する事です。

 

その方法の1つが、「自分の全ての判断と行動に理由を持つ」という習慣です。

 

例えば、何かを買う時は、ただ「欲しい」ではなく、それを買って得られる具体的なメリットを考え、買う理由を持つ事です。

 

電車に乗ったらなぜその位置に立つのか。

 

通勤時間ではなぜそのスマホアプリを使うのか。

 

なぜその道を通って会社に行くのか。

 

同僚とランチに行っても、「じゃ、私も同じ」ではなく、自分がそのメニューを選ぶべき理由を持つ。

 

上司から言われた指示に対し、なぜそのように動いたのか。

 

これも「上司の指示だから」ではなく、自分がそう動くべき合理的な理由を持つ。

 

そうやって、あらゆる判断や行動に、自分なりの根拠や理由を考える習慣をつける事によって、自分の価値基準が見えてきます。

 

そしてその基準を自分自身で信頼できるようになります。

 

それはやがて、他人の意見を容易に揺るがない、強い精神軸を養う土台となるのです。

 

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