いい人は、人から嫌われる事を恐れます。
相手に捨てられるのが怖いので、無意識のうちに相手に迎合したり、必要以上に尽くしたり、相手に服従したりします。
しかしそれがもしずるい相手であれば、その気持ちを見透かされ、利用され、捨てられるリスクが高くなります。
「どうせあいつは俺からは離れられない」「向こうから別れを切り出すはずがない」と見下されるからです。
いい人がなぜそうなりやすいかというと、相手に依存しているからです。
依存というのは、経済的なものと精神的なものがありますが、経済的依存の方をお話しします。
例えば専業主婦やヒモ男は、経済的に相手に依存しているから、いなくなると困ります。
だから本当は別れたくてもできない。
捨てられたら生活ができないから相手に媚びて服従する。
しかしこれでは奴隷同然で、自分の人生を生きている実感を得る事は難しいと思います。
企業でも、元請けと下請けの関係のように、元請けから降ってくる仕事に依存していると、取引条件は自分で決められません。
自分の生殺与奪権を握っているのも元請けです。
つまり極端な言い方をすると、人間関係において主導権を握るのは、自分から「別れてもいい」と言える側です。
それで困る側が「あなたの言う通りにしますから別れないでほしい」となるのです。
仕事関係でも、「取引を打ち切ってもいい」「その仕事は断る」と言える側が商談の主導権を握っています。
「いや、それは困ります」という側は、相手が提示した条件に従うしかありません。
それは当然、足元を見られ、自分が不利で相手が有利な条件を飲む事になります。
これを防ぐには、本来は精神的な自立が必要です。
相手とは対等な立場であるという認識を持ち、相手への依存をやめ、自立する事です。
「自分を押し殺してまで関係を維持する必要はない」「相手との関係が終わっても何とかなる」という心の強さですが、「いい人」がこの力を獲得するのは容易ではありません。
そこで、まず欠かせないのが、経済的な自立です。
「自分でお金を稼ぐ事ができる」というのは、精神的な自立にも繋がるからです。
専業主婦でもヒモ男でも、相手と対等に自分の意見を主張し、自分の人生のハンドルを自分で握るには、ごちゃごちゃ言い訳する前に、とにかく働いてお金を稼ぐ事です。
もう1つは、「複数の選択肢を持っておく」あるいは「選べる能力を獲得する」事です。
自立できない人は、選択肢が常に1つしかありません。
仕事は1つ、取引先が1つ、収入源が1つ、住む場所が1つ、といった具合です。
だから不自由であり、窮屈な生き方を強いられます。
しかしもし、複数の選択肢があり、自由に選べるとしたらどうでしょうか？
例えば、英語ができれば、「日本の会社にしか就職できない」状態から、「日本でも就職できるし、世界でも就職できる」「取引先は全世界が対象」となると思います。
住む場所を選ぶ事ができれば、自分の都合やライフスタイルの変化に合わせて最も便利で有利な場所に引っ越す事ができます。
ほかにも、あの会社との取引を打ち切られても、事前に別の取引先を開拓しておけば問題ない。
今つき合っている人と別れても、ネット婚活など新しい出会いをつくる方法を知っておけば対応できる。
そうした自信も、依存心から脱却する礎になります。
