私たちを怒らせたり、不愉快にさせる大きな要因の1つに、「見返りを期待する気持ち」があります。
「あの人にこれだけ恩を売ってあげた」という自分の思いが強ければ強いほど、その見返りが得られなかった時の失望感も大きくなります。
「自分が挨拶したら相手も挨拶を返してくれるだろう」という期待があるから、そうでないと腹が立つ。
いろいろ世話をしたら、いつか恩返しをしてくれるだろうという期待があるから、そうでない時、「あんなに面倒見てやったのに、礼儀知らず」と腹が立つ。
でも、所詮は他人です。
自分の思い通りに行動してくれるとは限りません。
むしろ思い通りにはならない事の方が多いものです。
子供に対する親の気持ちも同じです。
親が理想とする子供に育ってほしいと願い、いろいろ買ってあげたり、教育の機会を与えたり、遊びに連れて行ったりします。
親の価値観に合う子どもに育つように、先回りして助言します。
だからこそ、グレたり反抗したり、親の期待とは正反対の事をするからイライラする。
しかし子どもだって他人です。
子供には子供の人格があり、適性があり、考え方があり、生き方があります。
親の理想とは違って当たり前です。
だから、他人に何かする時は、見返りを期待せずに、自分のためにやればいいのです。
「してあげる」という意識を捨てて、自分が嬉しいから、楽しいから、得をするから、という理由で行動すればいいのです。
挨拶をするのは、相手のためじゃなく自分に元気を与えるため。
部下を育てるのは、部下のためではなく自分が楽になるため。
ボランティアをするのは、弱者のためではなく自分の奉仕精神を安定させるため。
子供に尽くすのは、将来世話してもらうためではなく、単に自分が楽しいから。
少しでも「自分のため」と思えなければ、やらない。
奉仕しない、尽くさない、お金も貸さない。
見返りが欲しいという気持ちを捨てると、自分のやる事がすべて充実したものになります。
相手の反応が気にならなくなり、平穏な感情を維持できるようになるのです。