トリプルパンチ

 

「諦めない」が美徳になるとどうなるでしょうか?

 

「一度始めた事は諦めてはいけない」という信条に従えば、自分には合わないと思ってもやめてはいけない、効果がないと分かっても続けないといけない、この道は間違っていると思っても進んでいかないといけない、しがみつかないといけない・・・。

 

これは幸せから離れていく考え方ではないでしょうか?

 

例えば子供のお稽古事で、本人は「楽しくない、やめたい」と思っているのに、親が「せっかく始めたんだから」と言って続けさせる事は珍しくないと思います。

 

たしかにある程度上達しなければ、物事の本当の面白さや奥深さはわからないものです。

 

だからまずは、なぜ子供が没頭できないのか、楽しくないのか、その理由を探る事は必要です。

 

とはいえ、やりたくない事をやっている時は集中できず脳の機能が低下するので、さっさとやめて次の事を試すのが生産的というものです。

 

人間の脳の機能として、何かに没頭している時は脳が活性化する事がわかっています。

 

脳には「汎化」という「何か1つの能力が伸びると、それとは直接関係しない他の部分の能力も伸びる」という特徴があります。

 

何か1つの事に集中して取り組んでいると、脳内ではそれに関連する神経細胞のネットワークが強化されるのですが、それにつられて周辺のさまざまな部分のネットワークも発達し、このような現象が起こると言われています。

 

つまり、夢中になれるものがあるというのは、脳全体の機能を向上させる事に繋がる可能性があるわけです。

 

やりたくないのに無理にやっていると脳の機能は低下するうえ、上達する喜びも得られないわけです。

 

それを続ける事は時間とお金と本人のモチベーションを失うトリプルパンチになってしまいます。

 

自分に合わないと分かったら、さっさと諦めて別の道を探す方が良いというのは、お稽古事に限らず人生全般に当てはまると思うのです。

 

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