人は、「確実性」という名の安全基地をつくりたがります。
ただし、ここで付け加えたいのは「貯蓄=お金」というものが脳の確実性、つまりは安全基地を支配しているわけではないという事です。
そもそも安全基地の原型とは、「親が子供の事を見守る」というところにあります。
しかし、あまりにも過保護で子供が甘やかされてしまうと親離れできなくなってしまい、これでは本来の意味の安全基地というものではなくなってしまいます。
また、親にお金があったからといってその人の安全基地になるわけでもありません。
お金があまりない家でも親が十分愛を持って育ててくれれば、それがその人の人生における安全基地の土台になるという事です。
現在、多くの若者は安定志向で、一流大学に入って一流企業に就職するという事のために生きていると感じます。
ビジネスにおいても、何かリスクを冒してでも、ライバルを出し抜いてやろうという強い意志を持っている人は少ないはずです。
これも脳の安全基地が関係しているのですが、安全基地というのはあくまで外に向かってチャレンジしていくのが本来の役割なので、安定型の安心というのは偽の安全基地なのです。
一流大学に入って一流企業に就職するというのは、チャレンジとは関係のない事で、自分の安心や安全を確保しようというだけにすぎません。
社会の中で肩書やお金を含め、ある程度の保証が欲しいというのはいいのですが、そればかりを求めてしまう人というのは、人間関係のネットワーク、更には自分自分に舞い降りてくるチャンスを逃してしまっている、つまりは成功者への鍵を見つけられない人の特徴だと言えます。
お金は脳の安全基地の一部分でしかありません。
やはり人間関係におけるネットワーク、信頼、そして自分のスキル、知識、経験、そういうものが総合的に脳の安全基地となって確実性が生まれ、その分、不確実性を積み増す事ができる人が、世の中の一流と呼ばれる人やお金持ちに共通する特徴なのです。
確実な事や不確実な事の内容は人によって違いますが、全ての人にある確実性と不確実性にそれほど大きな差はありません。
重要なのは、沢山のお金を手に入れてきた人は、確実な事や不確実な事をうまく生かしながら人間関係やスキルを構築してきた人であり、お金があまりない人は、知識や経験、その人にしか持っていないノウハウやビジョンというものを、まだ生かしきれていないだけだという事です。
それができるようになれば、どんな人にもお金は自然と集まってくるのです。